日本で梅毒の治療は難しい?

2019.12.24 医療情報

日本で梅毒の治療は難しい?

現在日本で梅毒が増加していることは、
以前のブログでもご紹介いたしました。

梅毒流行の原因は様々ですが、
その一つに「日本には梅毒に一番効く抗菌薬(抗生物質)がない!」
ことがあげられます。

 

日本の梅毒治療は世界的に見て遅れている?

 

日本は先進国でどんな抗菌薬もある、と思われる方が多いですが、
そんなことはありません。

世界的には、「たった一回の注射」で治療が終了します。

それに対し日本では、「1日3回の抗生物質を1か月間」かかります。

「たった一回の注射」とはPenicillin G Benzathine (Bicillin バイシリン® L-A) という抗生物質です。

30日間1日3回飲み続けるのと、
1回の注射では、かなり違いがありますよね?

 

なぜこんな重要な抗菌薬が日本にはないのか?

 

実は、以前は日本でも発売していましたが、
アナフィラキシーショックと考えられる副作用のため、
死亡事故が起こってしまったため、
発売中止となってしまいました。

アナフィラキシーショックは、
どんな薬剤にでも起こりうるリスクであり、
このバイシリンが特に危険な薬だった、
というわけではないと考えられています。

 

感染症医が国に働きかけています

 

梅毒が急増しているいま、
日本でも再度この薬の製造・承認を求めて、
感染症医が厚生労働省へ働きかけをしています。

一日でも早くこの抗菌薬が日本でも使用できるようになることを望みます。

記事執筆者

KARADA内科クリニック 五反田

院長 佐藤 昭裕

KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医。

総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。性感染症(性病検査)も専門とする。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。

東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。
-著書『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』
●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演中 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

認定資格

  • 医学博士
  • 日本感染症学会専門医・指導医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
  • 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
  • 日本エイズ学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)

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