- 医学博士
- 日本感染症学会専門医・指導医
- 日本内科学会認定医
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
- 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
- 日本エイズ学会認定医
- 日本医師会認定産業医
- 臨床研修指導医(厚生労働省)
- 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
HIV感染症ではない方にとって、HIV感染症にどうやったら感染しないか、という問題は昔からあり、その代表格が「コンドームの使用」です。
しかし時代は進み、HIVの予防法はそれだけではなくなりました。
「予防内服」という手段です。
これについては次の機会にご紹介したいと思います。
さて、すでにHIV感染症と診断された方にとって、どうしたら大事なパートナーにうつさないですむか、という問題は長年の課題でした。
すでにパートナーとして一緒に住んでいる方にとっても、まだパートナーはいないけどこれからつくりたいと思っている方にとっても、この問題があるから踏み出せない、セックスをあきらめていた、子供をつくることもあきらめていた、という方は非常に多く、その悩みを伺う機会もよくありました。
しかし、2018年に「U=U」(ユー イコール ユー)という言葉がHIV業界に衝撃を与えました。
これは「Undetectable=Untransmittable」の頭文字をとったもので、「検出感度以下=他人へ感染させない」ということです。
血液中のHIVを、抗HIV薬により検査で見つけられないくらいな状態にまでコントロールすれば、コンドームを使用しないセックスでも、相手に感染させることはない、ということがわかったのです。
PARTNER Studyという試験で、一人が抗HIV薬により血液中のHIV量を抑えられたHIV感染者、相手は感染していないというカップルを観察しました。
①異性間でどちらかがHIV感染者のカップル548組、
②男性同性間でどちらかがHIV感染者のカップル340組を観察しました。
①のグループでは36,000回のコンドームを使用しないセックス、②のグループでは20,000回のコンドームを使用しないセックスがありました。
「この状態で、相手にHIVをうつしたカップルは何組いたのか?」、「0(ゼロ)」でした。
カップル間ではないセックスで、HIV感染を起こした方はいましたが、しっかり治療しているパートナーとのセックスでは、コンドームを使用しないセックスでも感染しなかったのです。
この試験結果で重要なことは、「HIVに感染したとしても、しっかり治療をすれば、大事なパートナーへ感染させることはない」ということです。HIV感染者にとって、非常に重要な論文となりました。
ただ、注意点としては、「治療で血液中のHIV量をしっかり抑えられているHIV感染者」と、「まだHIV感染に気付いてない人」もしくは「HIV感染者でまだ治療を開始してない人」がコンドームを用いないセックスをした場合、後者のウイルスが前者へ感染を起こします。
そうするとひとくくりにHIVといっても、一人一人もっているHIVの特徴は異なり、飲んでいる抗HIV薬が効かないウイルスになってしまうことがあります。そのため、パートナー以外の、あまり知らない人とのセックスでは、これまで通りコンドームを使用することが重要になります。
HIV感染症の診断を受け、病院へ行き、適切な治療を行えば、人へ感染させることはない時代になりました。そのためにも早期診断が必要ですので、自覚症状がなかったとしてもセックスをしている人であれば、定期的な検査をお勧めいたします。
当院ではHIVの専門的な検査だけでなく、治療も行える感染症専門医が在籍しております。
そのため万が一陽性だと分かった場合の治療プランの的確な指導ができます。
治療も分かった上での幅広い知識でHIVの検査をいたしますのでご安心ください。
迅速検査もご用意しております。