淋病(淋菌感染症)に予防効果のあるワクチン

2024.01.17 医療情報

淋病(淋菌感染症)に予防効果のあるワクチン

淋病(淋菌感染症)を予防できる可能性のあるワクチンが登場しました。

「登場」といっても新発売ではなく、すでにほかの感染症へのワクチンとして発売されているワクチンが、「淋菌にも効果がある」ということがわかってきたのです。

すでにあるワクチンとは「髄膜炎菌ワクチン」です。

このすでに発売されている髄膜炎菌ワクチンをうつと淋病を減らすことがわかり、イギリスでは淋菌感染のリスクが高い方に向け接種推奨を始めました。 ただし、日本国内で発売されている髄膜炎菌ワクチンにはその効果はなく、海外で発売されているものにその効果が認められています。KARADA内科クリニックではこの海外で流通しているワクチンを輸入し、接種を行っております。 このことについて解説をしたいと思います。

髄膜炎菌ワクチンについて

現在日本では、「メンクアッドフィ®」、「メナクトラ®」という4価(血清型A, C, Y, W-135)結合型ワクチンが販売されています。この血清型というのは髄膜炎菌をさらに分けることができる分類で、血清型A,B,Cでおよそ90%を占めるといわれています。

もうお気づきかもしれませんが、国内のワクチンではこの「血清型B」がカバーできません。 この血清型Bはヨーロッパ、アメリカなどで感染の流行がみられることがあり、留学などで現地の寮へ入る場合や、多くの人が集まるイベントには接種が求められることがあります。

この血清型Bをカバーするワクチンが「BEXSERO®」です(4CMenB)。このワクチンをKARADA内科クリニックでは輸入し、留学やイベント参加などで必要のある方に接種を行っています。

なぜ髄膜炎菌ワクチンが淋菌にも効くのか

英名で髄膜炎菌は、”Neisseria meningitidis“ と言います。淋菌は、”Nisseria gonorrhoeae” と言います。”Neisseria” が同じことに気づくと思います。つまり名字が一緒で、同じグループに属しているということです。この2つの菌は遺伝的に密接な関係にあり、80~90%の配列相同性を有するとされています。そのため、様々な論文データで「淋菌にも髄膜炎菌ワクチン(B)が有効」ということがわかってきたのです。

接種推奨者

  • 淋病または他の性感染症に最近かかったことがある方
  • 淋病と診断された人(症状があった人も、なかった人も) ・複数のパートナーとのハイリスクな性行為がある人(コンドームを使用しないなど)
  • 性風俗業で働いている方(Sex worker)

効果

現時点で報告されているものでは、約33~42%程度の効果があるとされています。もちろん100%ではないですが、「DOXY PEP(ドキシペップ)」と言われている新たな予防法と組み合わせれば、その確率はさらに上がると考えられます。

梅毒・淋菌・クラミジアを予防するドキシペップの解説はこちら

接種回数・経路

2回接種します。

1回目から1か月以上間隔をあけて2回目を接種します。 筋肉注射です。

費用

1回あたり 25,300円(税込み)×2回接種

※性病予防ワクチンセットを接種された方、もしくは同時に接種される方は1回22,000円(税込み)とさせていただきます。

副反応

・10%以上:接種部位の痛み、腫れ、倦怠感、頭痛など

・1~9%:吐気、発熱

ワクチンを接種するか悩んでいる方へ

淋病に対する治療薬は、現在日本だと「セフトリアキソン」という点滴の薬が第一選択薬となっています。時々「淋病に飲み薬を処方された」と聞くことがありますが、その有効性はかなり低いことがわかっています。

さらに、この第一選択薬の薬さえ効かない淋菌が、世界では増加してきており、日本でも流行してしまう可能性が十分に考えられます。そうなってしまうと、「淋病が治らない」ということも考えられ、ますます予防が大事になってきます。また、このセフトリアキソンにアレルギーをお持ちの方は、すでに治療がとても難しくなっています。

このような方々や、「繰り返し淋病になってしまう」方にはこのワクチンを接種する価値があると考えます。 なかなか日本でこのワクチンを扱っている医療機関はありません。是非KARADA内科クリニックまでご相談ください。

参考文献

記事執筆者

KARADA内科クリニック 五反田

院長 佐藤 昭裕

KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医。

総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。性感染症(性病検査)も専門とする。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。

東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。
-著書『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』
●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演中 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

認定資格

  • 医学博士
  • 日本感染症学会専門医・指導医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
  • 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
  • 日本エイズ学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)

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