- 医学博士
- 日本感染症学会専門医・指導医
- 日本内科学会認定医
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
- 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
- 日本エイズ学会認定医
- 日本医師会認定産業医
- 臨床研修指導医(厚生労働省)
- 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
2024年8月に、PrEP(プレップ)で利用されるツルバダ配合錠が薬事承認されました。これまで日本国内でプレップの薬で薬事承認されていたものはありませんでした。承認されてから約3か月がたち、何が変わったのでしょうか。
過去にHIV治療薬として使われていた薬で、エムトリシタビンとテノホビルジソプロキシルフマル酸塩の合剤です。現在はほぼ治療で使われることはなくなってきました。それは、デシコビ配合錠というツルバダ配合錠の進化版のような薬が発売になったためです。世界的にはプレップの薬としてそのジェネリック薬が利用されています。
これまでツルバダは、「HIV治療薬」として薬事承認を受けており、治療に使われていました。そのため「HIV予防」に使うことはできなかったのです。しかし、プレップはWHOも推奨するHIV予防法であり、日本でも使うことができるようにするために、日本エイズ学会が厚生労働省に対し使えるようにしてもらえるように申請をだしていました。その申請が通り、ツルバダを「HIV予防薬」として使うことが認められたのです。
薬事承認されていなかったため、
この2つの方法で「適応外使用」という形で使っていました。また、日本にはツルバダのジェネリックも存在しないため、輸入のジェネリックに頼るしかありませんでした。
ここから話は少しややこしいのですが、「ツルバダが薬事承認を受けた」といっても、安価なジェネリック薬がないことには変わらないので、「先発品であるツルバダでプレップをできるようになった」ということになります。しかし先発品はとても高価であり、1日分で約2,500円かかり、1か月で約80,000円くらいかかってしまいます。
また、これまでクリニックで輸入できていた「ツルバダのジェネリック」が輸入できなくなります。その理由は、厚生労働省は「国内に代替品のない薬剤に関してのみ輸入を許可する」というルールがあるからです。「値段が安いから」というのは輸入の理由にはなりません。
そのため、今後日本でプレップを行いたい方は下記のいずれかの方法になります。
当院はこれまでもデシコビのジェネリック薬を中心にプレップ処方を行ってきました。もちろん当院でプレップをされている方で、HIV陽性となってしまった方は1人もおりません。これまでツルバダジェネリックを内服されていた方も、是非ご相談ください。
ツルバダの薬事承認により、保健所や厚生労働省からもプレップ啓発がしやすくなったと思います。また、承認によりこれまでプレップに対し不安を持っておられた方も多少安心感が増したのではないでしょうか。実際当院でプレップを開始される方が9月以降増加傾向にあります。
しかし、まだまだ問題は残っております。薬事承認されたといっても、この価格で始めようと思う方はなかなかおられないと思います。これからもKARADA内科クリニックでは、皆さんに安心して。かつ便利にプレップを利用していただけるようにするために努力を続けていきたいと思っております。