性行為と新型コロナウイルス感染症3

2020.05.15 医療情報

性行為と新型コロナウイルス感染症3

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新たな「性行為(セックス)とコロナ」関連情報がでてきました。もう第3弾になります。

第一回の記事はこちら(クリック)

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今回ご紹介するのは、「精液中にコロナウイルスがいた」というものです。

”Clinical Characteristics and Results of Semen Tests Among Men With Coronavirus Disease 2019”
JAMA Netw Open. 2020;3(5):e208292. doi:10.1001/jamanetworkopen.2020.8292
中国からの論文です。

 

精液でコロナは感染するのか?

 

「新型コロナウイルス感染症と診断された男性患者38人(うち有症状者15名、回復後23名)の精液を検査したところ、6人(有症状者4名、回復後2名)の精液から新型コロナウイルスが検出された」という論文です。

ここで注意しなければならないことは、「精液中にコロナウイルスがいた」ということが、「精液によってコロナがうつる」ことではないということです。


どのようにコロナウイルスを本論文で検出したかの記述はなく、検査方法は明らかになっていないのですが、一般的にはPCR検査やウイルス培養という検査になります。

PCR検査はウイルスの遺伝子片を調べるもので、「ウイルスの死骸」のようなものが残っていただけでも陽性になってしまいます。

ウイルス培養は、「生きているウイルス」がいたときに陽性となります。もしウイルス培養が陽性だったとすると、精液からコロナウイルスがうつってしまう可能性がでてきます。

 

 

感染するかどうか?今後の展望

 

これまでジカウイルスやエボラ出血熱などの感染症が、性行為関連感染症(性病)としてあり得ることがわかっています。

今後「性病としての新型コロナウイルス感染症」を証明するには、明らかに性行為でうつった、という事例の蓄積と、先ほどお話ししたウイルス培養を行い、ウイルスに増殖能力があることを調べる必要があります。

もしも「セックスで感染するらしい」ということがわかれば、次は「どのくらいの時期から、どのくらいの時期まで感染性があるか」を調べる必要がでてきます。

これがわかれば、コロナにかかったあとは、どれくらいセックスをしてはいけないか、ということも言うことができるのです。

ということで、精液中にコロナウイルスがいる、もしくはいたことはわかりましたが、これが他人へうつす可能性があるかはまだわからない、というのが現段階でいえることです。

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記事執筆者

KARADA内科クリニック 五反田

院長 佐藤 昭裕

KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医。

総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。性感染症(性病検査)も専門とする。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。

東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。
-著書『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』
●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演中 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

認定資格

  • 医学博士
  • 日本感染症学会専門医・指導医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
  • 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
  • 日本エイズ学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)

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