女性でPrEP(プレップ:HIV予防薬)を検討されている方へ

2022.09.17 医療情報

女性でPrEP(プレップ:HIV予防薬)を検討されている方へ

PrEP(プレップ)とは、HIV感染症に対する治療薬の1つを内服することにより、HIV感染を予防する方法のことです、HIV予防薬として知られています。 原則は、コンドームの使用をするなどの感染予防とあわせて、内服をすることになります。 詳細な情報についてはこちらのサイトをご参照ください。    

一般的に女性でPrEPが推奨される条件

  HIV未感染で、過去6ヶ月で性行為があり、かつ以下のいずれかに該当する方となっています。

  1. コンドーム無しの性行為がある
  2. 過去6ヶ月以内に性感染症が判明した
  3. HIV感染者と性的関係がある

  今では、性風俗産業従事者(セックスワーカー)で内服をされている方が増えてきています。

女性(膣性交)のプレップ注意点

 

PrEPは一般的に「デイリープレップ(毎日1錠飲む)」と「オンデマンドプレップ(行為のある前日と当日、翌日にだけ飲む)」がありますが、女性の場合は「デイリープレップ」のみを推奨いたします。

理由として、薬を飲んで、膣に薬の成分が届き、十分な予防効果がでてくるまでの時間が、肛門などに比べて時間がかかるためです。膣性交の場合は、男性が行うオンデマンドプレップのように、前日から内服を開始しても間に合わない、ということです。膣で十分な予防効果がでてくるまでには20日程度かかる、というデータもでていますので、内服を初めてすぐ数日では予防効果はあまりないと考えた方が良いです。

他院で性感染症の検査をしている方へ

  風俗やAV業界で働いている方は、郵送検査などを利用し、数か月に一度性病の検査をされている方もいらっしゃると思います。プレップを始める際には、いくつか注意点がありますので、最初は当院での検査をお勧めいたします。特に重要な項目としては下記のようなことがあります。

  1. 内服開始時点で、HIV感染症がない HIV感染症に気づかないうちにプレップを開始してしまうと、その薬が効かなくなってしまう恐れがあります。必ず内服前に陰性であることを確認します。
  2. B型肝炎の合併がない プレップの薬は、B型肝炎にも効果があります。そのため、すでにB型肝炎を持っている方がプレップを始めると、B型肝炎にも部分的に薬が効き、内服を中止するときにB型肝炎が悪化してしまうことがあります。
  3. 腎機能の定期的な検査 薬を飲み続けることで、腎臓に負担がかかることがあります。そのため、少なくとも半年に1回は腎機能の検査が推奨されています。一般的な性感染症の検査だけだと、ここが抜けてしまいます。そのため、最低半年に1回は当院での検査をお勧めいたします。

他の性病について

  プレップを開始すると、コンドームなどの予防がおろそかになってしまう方がいます。そうなるとHIVは防げても、梅毒やクラミジアなどの他の性病に感染する確率があがります。 ただし、プレップ中は3か月に1回、梅毒や淋菌、クラミジア、B型肝炎の検査を受けることが推奨されていますので、そこで見つけることが出来るようになります。 これまで定期的に性病検査をしなかった方が、定期的に検査をするようになるので、早期発見・早期治療ができるようになるメリットもあります。 当院では下記のように検査セットを組んでおります。

  • プレップ中血液検査セット(税込5,500円):HIV、梅毒、B型肝炎、腎機能
  • プレップ中淋菌・クラミジア検査セット(税込4,400円):尿or膣、のど、肛門の3か所で淋菌・クラミジア

  当院はHIV感染症を実際に治療をしているクリニックです(女性の患者さんも含む)。そのためHIV治療薬の扱いに慣れた医師が対応させていただきますので、プレップの詳しい相談にも対応可能です。お気軽にご相談ください。

PrEP療法診療の料金

後発薬(ジェネリック)

デイリー
セット検査 なし 9,900(税込)/ 1ヶ月
22,000(税込)/ 3ヶ月
セット検査 あり 13,200(税込)/ 1ヶ月
25,300(税込)/ 3ヶ月

先発品

デイリー
セット検査 なし 154,000(税込)/ 1ヶ月
セット検査 あり 159,500(税込)/ 1ヶ月

 

薬について

先発薬: デシコビ
後発薬: TAFERO EM

PrEPオンライン診療の流れ

こちらをご確認ください

よくある質問

 

参考文献

 

記事執筆者

KARADA内科クリニック 五反田

院長 佐藤 昭裕

KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医。

総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。性感染症(性病検査)も専門とする。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。

東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。
-著書『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』
●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演中 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

認定資格

  • 医学博士
  • 日本感染症学会専門医・指導医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
  • 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
  • 日本エイズ学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)

error: サイトのコンテンツのコピーは禁止されています。