HIV感染症・エイズ(AIDS)

HIV感染症・エイズ(AIDS)

HIV(Human Immunodeficiency Virus; ヒト免疫不全ウイルス)が
感染することにより起こる感染症です。

HIV感染症の方が、「エイズ指標疾患」といわれる病気を発症してしまうと、エイズ(AIDS)といわれる状態になります。治療薬が非常に良くなってきているため、早期に発見し治療を開始すれば、非感染者とほぼ同じだけの寿命を全うすることができるようになってきています。

急性期の症状(感染後約2~4週間)
:感染者の30-70%程度で起きる

  • 発熱(高熱)、リンパ節腫脹、のどの痛み、などのインフルエンザのような症状
  • 体に皮疹、赤み

無症候期の症状(感染後4週間~数年)

  • 症状なし
  • 採血検査で血小板減少、リンパ球低下

エイズ発症期の症状
(感染から数年~十数年後)

  • 発熱、咳、歩行時の呼吸困難、痰→ニューモシスチス肺炎
  • 数か月続く下痢→サイトメガロウイルス腸炎、イソスポーラ、サイクロスポーラ、クリプトスポリジウム
  • 認知症、うつ病、筋力低下、四肢麻痺→悪性リンパ腫、トキソプラズマ症、進行性多巣性白質脳症(PML)、HAND

HIV感染症・エイズ(AIDS)の詳細

感染経路
性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)
注射器の使いまわし
潜伏期間
エイズ発症までは数年~数十年
検査方法
採血(リスクのある行為から約10日後から受けられる検査や、1~3か月後に受けられる検査があります)
診断(スクリーニング検査)
  • HIV抗体検査(ELISA法、IC法、PA法):第1~3世代まであり、それぞれの世代により、リスクのある行為から何日間あければ検査が出来るかが異なります。
  • HIV抗原/抗体検査(ELISA法):第4世代と言われる検査法で、リスクのある行為から約2~4週間あければ検査が出来ます。
確認検査
  • Western Blot法:標準的な確認検査で、確定診断をつけるときに使用します。
  • PCR法:スクリーニング検査よりも早期に検出可能です。リスクのある行為から約10日あければ検査ができます。

HIV感染症・エイズ(AIDS)の治療方法

抗HIV薬の内服(一生涯)

現在のところHIV感染症を「完治」させることはできません。しかし、抗HIV薬を毎日忘れず飲み続ければエイズを発症させることなく、血液中にいるHIVをほぼ見つけられないくらいに減らすことができます。
エイズを発症してしまった場合には、まずその原因となった病気の治療を行います。その後HIV感染症自体の治療として抗HIV薬を内服開始することが多いですが、病気によっては抗HIV薬を同時に開始することもあります。

治療後の経過

エイズ発症前に抗HIV薬による治療を開始した場合には、1~3カ月ごとに病院・クリニックへ通院し、毎回採血検査を行います。血液中のHIV量や免疫の状態をあらわすCD4細胞数を測定し、治療が上手く行えているかを見ていきます。

HIV感染症・エイズ(AIDS)の予防法

コンドーム(オーラルセックスの際も必要)

PEP(曝露後予防)
性行為の相手がHIVに感染していることがわかっている、もしくは後から判明したときに、抗HIV薬を内服することで99%以上の予防効果がある予防法です。当院でも多くの方に処方実績があります。

PEP・PrEP専用ページはこちら

PrEP(曝露前予防):抗HIV薬をあらかじめ毎日1錠内服し続けることによって、HIV感染を予防します。日本でも既に多くの方がこの予防法を始めています。

PEP・PrEP専用ページはこちら

記事執筆者

KARADA内科クリニック 五反田

院長 佐藤 昭裕

KARADA内科クリニック院長。医学博士。日本感染症学会専門医。

総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。性感染症(性病検査)も専門とする。
「東京都感染症マニュアル2018」や「感染症クイック・リファレンス」などの作成に携わる。

東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。
-著書『感染症専門医が普段やっている 感染症自衛マニュアル』
●日本テレビ スッキリに感染症専門家として毎週出演中 ●Yahoo!ニュース公式コメンテーター

認定資格

  • 医学博士
  • 日本感染症学会専門医・指導医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
  • 日本感染症学会推薦 ICD(Infection control doctor)
  • 日本エイズ学会認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医(厚生労働省)
  • 身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)

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